Blitz Gallery updated 2017-03-17

Past Exhibition

高橋 和海 写真展
「Moonscape-High Tide Wane Moon-」

inf_press_40_image1.jpg(C)Kazuumi Takahashi
2009年 4月17日(金)~ 6月13日(土)
1:00PM~7:00PM/ 休廊 日・月曜日および5月5日~5月7日

作品で意識したテーマは「引力」です。「月の満ち欠け」「星の動き」は太陽と地球の引力の仕業であり、「波や潮」は「月」の引力の作用であり、だから「月」と「海」の写真は一体なのです。「海」は、漁師の家に生まれ育った自分にとって原風景であり、生活の根幹です。漁師は必然的に「潮の満ち引き」に敏感に反応しています。(高橋和海)

2008年に米国Nazraeli Pressより初写真集“High Tide Wane Moon”を刊行した新進気鋭のアート写真作家高橋和海(タカハシ・カズウミ)の写真展「ムーンスケイプ」を開催いたします。本展では日本全国で撮影された、一連の月と海の組写真が展示されます。すべて上記写真集収録作品からのセレクションです。

高橋は漁師の子供として幼いときから海の近くで生活していました。月の引力は海に影響を与ており、その潮の満ち引きは彼の一日の行動に大きな影響を与えていたそうです。この幼少時の経験が本プロジェクトの背景です。
高橋にとって、写真撮影自体が本来の自分を取り戻す重要な癒しの行為になっています。深夜の浜辺での長時間露光撮影は自然と一体化する座禅のような行為。その時、高橋は自然の揺らぎとシンクロしています。このように制作される彼の写真には宇宙のリズムが取り込まれており、見る人の心を直接揺さぶるのです。

本作は月や海を撮影した癒し系のイメージだけではありません。“引力”をテーマにした作品コンセプトも明快です。月と海の写真が対で提示されることで、私たちが普段忘れがちな自然の大きな営みを思い出させてくれます。宇宙のなかの小さな自分の存在に直感的に気付き、自らを客観視できるのです。高橋の写真を見て感じるだけで、まるで瞑想のように、枯渇していたエネルギーが再注入されるような感じがします。

昨年、米国ポートランドで開催された個展では多くの観客を動員するとともに、“Moonscape(月風景)”は杉本博司の“Seascapes(海景)”、柴田敏雄の“Landscape(陸風景)”の流れを継ぐ日本人作家による優れた風景写真と高く評価されました。季語を思い起こす月の扱いと、その奥深い写真世界の広がりから、俳句を連想するという意見も多く聞かれたそうです。写真集“High Tide Wane Moon”はなんと期間中に完売したそうです。

ストレスフルな社会で生きる米国人は、癒しと救いを高橋の作品に求めていたのです。同じ状況で生きる日本人にとっても共感できる作品だと思います。本展では、大判サイズを含むカラー作品約10組20点が日本初公開されます。現在ほぼ完売状態の写真集“High Tide Wane Moon”(Nazraeli Press刊)も限定数販売いたします。

(高橋和海 プロフィール)
1963年 神奈川県横須賀生まれ。
1989年東京綜合写真専門学校卒業、1991年同校研究科卒。
広告写真を行う一方、90年代から個展、グループ展で作品を継続して発表する。
2007年に米国の有力アート写真集出版社のNazraeli Pressより"High Tide Wane Moon"を刊行。
2008年には米国オレゴン州ポートランドのCharles A. Hartman Fine Artで米国初個展を開催。
作品はJoy of Givong Something, Inc.コレクション(ニューヨーク)に収録されている。