Blitz Gallery updated 2017-08-30

Past Exhibition

丸山 晋一 写真展
「空書/KUSHO」

inf_press_41_image2.jpg(C)Shinichi Maruyama
2009年 6月24日(水)~ 8月8日(土)
1:00PM~7:00PM/ 休廊 日・月曜日

米国ニューヨーク在住の写真家丸山晋一(マルヤマ・シンイチ)の写真展です。空書とは天空に描く写真による書を意味します。同展は、2009年1月にニューヨークのザ・ブルース・シルベスタイン・ギャラリーで開催された写真展の日本巡回展です。

丸山は、広告写真の経験を生かし、高速カメラを駆使した水などの液体撮影で作品制作を行ってきました。これは近年のストロボライトの進歩により可能になった技術で、なんと1/7500秒、から1/20000秒のシャッタースピードで撮影しています。やがて彼は墨と水を天空に巻き散らす「空書」シリーズを開始。作品制作を続ける中、いつしかその行為は自らを癒す瞑想のような行為となります。そして度重なる試行錯誤の結果、ついに禅の奥義を象徴した円の図柄を天空に描き撮影することに成功します。「空書」シリーズの精神とヴィジュアルがこのときに合致したのです。禅思想は宗教を超え、現代人の生き方に多大な影響を与えてきました。いまやシンプルやミニマムな美意識を生かしたライフスタイルとして欧米でも定着しています。禅は日本人の文化形成に深く寄与してきました。しかし文明開化以後、その精神は次第に無意識化していきます。現代に生きる丸山の作品にその影響がみられるのは、彼が外国で日本人の歴史とアイデンティティーを強く意識したからでしょう。
評論家Maurice Berger氏は、写真集「空書/KUSHO」に寄せたエッセーで、「偶然から生み出され、一瞬で消えゆく作品は、未完の美を追求する侘び寂びの精神に通じる。」とした上で、アルフレッド・スティーグリッツが雲と空を撮影した“Equivalent”と対比。「西洋モダニズムと東洋古来の美学のかけ橋となる作品である。」と分析しています。禅の美意識と、広告写真の最先端手法の組み合わせで制作された作品はアート史の中で高く評価されたのです。
「空書」は世界的アートフェアーのパリ・フォトやフォトグラフィーショーでも展示され、多くのコレクターを魅了しました。1メートルを超える大判作品の代表作“KUSHO #1”(限定10点)は、早くも完売状態だそうです。
本展では、大判サイズの銀塩、デジタル・アーカイヴァル・プリント作品約6点、8 x 10 inchサイズの銀塩作品4点が展示されます。シリーズ全22作品を収録した写真集も限定数販売されます。ぜひ、欧米で絶賛された「空書」のアート・パワーを多くの日本人にも実感していただきたいと思います。

(丸山晋一 プロフィール)
1968年 長野生まれ、千葉大学画像工学科出身
1993年 フリー写真家として広告写真開始、その後、チベットのドキュメンタリー作品を制作
1998年 博報堂フォトクリエイティブ入社。この頃からデジタル写真の技術探究を開始する
2001年 写真集「SPITI」、「Into The Spiti Valley」刊行、写真展「SPITI」(ギャラリー・ロケット・東京)
2003年 ニューヨークへ移住。欧米市場で広告写真を手掛ける一方で、作品制作に取り組む
2007年 「125 Magazine Japan Issue」展参加(ポール・スミス・スペース・東京)
2009年 写真展「KUSHO」(ザ・ブルース・シルベスタイン・ギャラリー・NY)、写真集「空書/KUSHO」刊行