Blitz Gallery updated 2017-04-12

Past Exhibition


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(C)Nobuyuki Kobayashi

小林 伸幸 写真展
「Nature Feel」
(ネイチャー・フィール)

2011年1月7日(金)~ 2月12日(土)
1:00PM~7:00PM/ 休廊 日・月曜日 / 入場無料

2011年、ブリッツ・ギャラリーは、新人、若手写真家の作品を、取扱い作家とは別に実験的に展示していきます。若い世代が写真展を経験することで様々なことに気付き、作家として飛躍することを期待しています。本展はそのシリーズの第1弾です。

商業写真で活躍する一方、長年作品制作を続けている小林伸幸の写真展「Nature Feel」です。伝統的な日本人の精神を感じさせるテーマ性と高いクオリティーのプラチナ・プリントは欧州でも高く評価され、作品はロンドンの老舗写真ギャラリーのハミルトンズで取り扱われています。

本展で小林は、自然の意味を問い直すことを現代人に訴えています。彼がその拠り所とするのは“優美”に代表される日本の伝統的な美意識です。日本は美しい自然を持ち、「八百万の神(やおよろずのかみ)」といわれるように自然崇拝の国でした。しかし明治時代以降は経済成長が優先され自然崇拝の意識は失われていきます。実は近代機械文明は地球の有限な資源の消費で成立しています。いま話題の環境破壊の根底にはこの欧米のキリスト教的な自然観があるのです。

小林は旅を続け、自然の中で思索しながら一種の宇宙感覚を追い求めます。日本人にとって、旅とは自然と一体になる行為でした。またそれは祖先の霊がいる他界を訪れ、生命力を再生させる意味合いもあったそうです。今でも残るお盆や年末の帰省の旅などはその名残なのです。平安末期に生きた歌人、西行(さいぎょう)や17世紀の松尾芭蕉は、ともに旅を愛しその途中にこの世を去っています。
現代に生きる小林も、旅の中で暮らす写真家です。時に野山を何時間もかけて歩き、自然のリズムとの一体化を図った上で撮影に臨みます。彼にとって写真撮影は自然の中に神を見出し、称賛する行為。その作品にはかつて日本人が敬っていた風景が時を超えて再現されています。プラチナ・プリントの独自のトーンがその印象を強めます。
いま経済成長と環境保護を両立させる生き方が世界的に求められています。彼の作品は、自然とともに生きる知恵がそのヒントになると語っているのです。

本展では、日本全国の旅から生まれた“然(ぜん)”シリーズより、大型8X10”カメラで撮影され、和紙を使用して手作業で制作された珠玉のプラチナ・プリント(*)作品約20点を展示いたします。

*プラチナ・プリント
プラチナ・プリントは19世紀に発明され20世紀前半ごろまで採用されていたコンタクトプリントの技法。プラチナとパラディウムの混合比により、シルバープリントでは難しい、デリケートで豊かなトーンと諧調表現力を引き出しています。また高い耐久性でも知られています。現在このプリント方法は再評価され、多数の作家が採用しています。小林は全て自らの手作業でプリント制作を行っています。

Nature Feel(ネイチャー・フィール) 小林伸幸

私はなぜ旅にでるのか。そしてなぜ自然の中に身を置きたくなるのか。
それは、自然の中に宿る神々を感じたいからだと思う。
神などと言うと些か宗教じみるので、「圧倒的な存在」を感じたいと言い換えてもいい。ハッとする程の存在感を放ち、それでいてそこに在る事が必然である様を感じたいからなのだと思う。
また旅とは日常からの脱却であり、普段感じ得ぬものを感じるには都合の良い行為だ。独り山河に身を委ねると、自ずと私自身が研ぎすまされ、そして感覚のままに歩めば、そこには息を飲むほどの景観が広がる。
日本では古来より、万物には八百万の神が宿ると言われているが、まさしくそう感じる瞬間が、確かにあると思える。故に私は、そうした様を捉えたい。
無常の世にあって、閑寂の中にも異彩を放ち、圧倒的な存在美で迫り来るそれらを、句を詠むが如く捉えたい。熱く静かに、敬い慈しむが如く。

小林 伸幸(コバヤシ・ノブユキ)  プロフィール

1970年、埼玉県秩父市生まれ。
1991年に東京写真専門学校(現 東京ビジュアル・アーツ)卒業。
出版/編集関連プロダクションでの専属カメラマンを経て1993年に独立。
主に広告、雑誌で活躍。中央、東南アジアでのポートレート中心の作品制作を展開。
2001年、ニューヨークでプラチナ・パルディウム等のオルタナティブ・プリント技法を学ぶ。
その後、風景をテーマにプラチナ・プリントでの作品制作を続けている。

写真展特別イベント

小林 伸幸 ギャラリー・フロア・レクチャー 「然シリーズとプラチナ・プリント」
1月15日(土) 午後2時~3時
入場無料
作家がギャラリー会場で作品の制作背景やプラチナ・プリントへのこだわりについて語ります。

*参加ご希望の方は当日2時5分前くらいにギャラリーにお越しください。