Blitz Gallery updated 2017-10-30

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トミオ・セイケ 写真展「Julie - Street Performer」
( ジュリー - ストリート・パフォーマー )
2017年 10月3日(火)~ 12月2日(土)
1:00PM~6:00PM/ 休廊 日・月曜日 / 入場無料

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Ⓒ Tomio Seike

海外を中心に活動する写真家トミオ・セイケの「Julie - Street Performer(ジュリー - ストリート・パフォーマー)」展を開催いたします。本作は、若きストリート・パフォーマーであるジュリーの生き方をテーマにした初期作で、今回が世界で初公開となります。なお、昨年当ギャラリーで開催して好評だったリヴァプールの若者グループを撮影した「Liverpool 1981(リヴァプール 1981)」とともに、本作はセイケが80年前半に英国で出合った若者たちをドキュメントしたシリーズとなります。

ストリート・パフォーマーは大道芸人と日本語に訳されます。外国ではライブ演奏も含まれます。ロンドンでは、行政からライセンスを得たパフォーマーが指定された路上で、歌、踊り、演技、演奏、アートなどのパフォーマンスを行い、観光客を楽しませてくれます。
1982年10月、セイケはロンドンで、カナダから来た若き4名のストリート・パフォーマーに出合います。彼らは男女二人ずつのグループで、ギターなどでの演奏をバックに男女のペアがダンス・パフォーマンスを行っていました。セイケは、彼らに興味を持ち、約1週間にわたりグループと行動を共にします。コヴェント・ガーデン、カムデン・マーケット、ポート・ベロー・マーケットで、主に女性ダンサー・ジュリーのパフォーマンスや私生活をドキュメントしました。セイケのカメラがとらえたのは、将来の大きな希望と現実の不安の中で揺れ動く若者たちの表情や態度です。前作のリヴァプールの若者たちと同様に、青春の光と影が見事に表現されています。
本作の、旅の中で暮らすストリート・パフォーマーたちの生活環境は、前作の住居があるリヴァプールの若者よりも厳しいと思われます。しかし、彼らの表情からは、自分で将来の目標を考えて、決断を下したことによる覚悟が伝わってきます。ともに厳しい環境下で暮らす若者たち。リヴァプールの若者は明るいのですが、ストリート・パフォーマーの表情からは更に凛としたような強い意志が感じられます。

過去2年にわたり、セイケは80年代前半に若者をドキュメントした作品を発表してきました。それには、80年代の2作品が同じく困難な環境に生きる21世紀の日本の若者への生きるヒントになると考えたからではないでしょうか。80年代の高度成長期とは違い、現在の日本の若者は当時の英国の若者と同じような状況に置かれています。もはや、会社組織というコミュニティーに全人生を頼ることができません。彼らも自分で考えて、判断を下し、その責任をすべて背負う覚悟を持たなければなりません。それができれば、本作の80年代のストリート・パフォーマーのように、不安な気持ちを抱えながらも凛として生きることが可能だという意味ではないでしょうか。

1982年はちょうどセイケの代表作「ザ・ポートレート・オブ・ゾイ」に取り組む直前の時期で、自らのオリジナリティーや作品スタイル構築を模索していました。今回の展示作の中には、その後のモノクロームの抽象美を追求する作品スタイルへの展開を予感させる作品も数多くみられます。本展では、セイケの世界初公開の初期作約20枚(デジタル・アーカイヴァル・プリント*)が展示されます。

*展示作は、当初5点アナログ銀塩、15点デジタル・アーカイヴァル・プリントを予定しておりましたが、諸事情により全点デジタル・アーカイヴァル・プリントを展示する予定となりました。

トミオ・セイケ プロフィール