Blitz Gallery updated 2017-10-30

Past Exhibition

トミオ・セイケ 写真展
「Liverpool 1981」
( リヴァプール 1981 )
2016年 9月7日(水)~ 10月13日(木)
1:00PM~6:00PM/ 休廊 日・月曜日 / 入場無料

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Ⓒ Tomio Seike

欧米のアート写真シーンで活躍中の写真家トミオ・セイケの写真展「Liverpool1981(リヴァプール 1981)」を開催いたします。リヴァプールは英国イングランド北西部マージーサイド州の中心都市。ザ・ビートルズの出身地としても知られています。かつて貿易や工業都市として発展したこの町は、第2次大戦による疲弊と1950年代の不況で急速に斜陽化していきます。その後も失業者は増加の一途をたどり、1980年代の失業率は英国内最悪でした。人口流出が進み、街はコミュニティーの崩壊とスラム化が進行。数多くの社会問題を抱えた都市になっていました。1979年にサッチャー政権が発足、国営企業の民営化・規制緩和、福祉制度の見直し、労働組合に対する対決姿勢などがとり入れられます。その後、英国経済は活性化して、リヴァプールも復活していきます。
1981年、セイケは経済的に最悪期のリヴァプールを訪れます。彼は市内のストリートで、当時流行のパンクの髪型とファッション姿の「スキンズ」という若者グループと知り合います。彼らは毎日市内を徘徊してまわり、遊技場や行政が用意した更生施設で時間をつぶしていました。セイケが驚いたのは、このような厳しい経済状況に陥っているのにもかかわらず、彼らが底抜けに明るかったことでした。彼はその中の二人の男女に興味を持ち、数日間行動を共にして撮影を敢行。リヴァプールの若者たちの青春の光と影を表現した本作が生まれました。彼らがセイケをコミュニティーに受け入れた理由は不明です。彼は、たぶん自分が外国人だったからだろう、と分析しています。「スキンズ」の若者は、一般市民社会から離脱して生きていることにプライドを持っていました。それは社会の常識を疑い、自らで考え、自分らしさを追求して生きるという、当時流行のパンクの精神に繋がります。経済的余裕がなくても明るいのは、自分を信じて生きているからであり、同じ考えの仲間がいて、居場所があったからでしょう。セイケは、経済的には裕福ですがムラ社会の息苦しさの中で暗い表情をしていた当時の日本の若者との違いに驚かされたそうです。21世紀に生きる若者は、社会構造が変化したことで、当時のような息苦しいコミュニティーからは自由になりました。しかし社会との関わりが希薄になり、不安になっているのも事実でしょう。本作は生きるためのメッセージを現在の日本の若者にも語っています。それは周りからの承認を過度に求めるのではなく、80年代のリヴァプールの若者のように、少しばかり個として強くなり、自分を信じて生きることが必要だということです。1981年はセイケにとってもキャリア上重要な時期にあたります。ちょうどアーティストとしてのデビュー作「ポートレート・オブ・ゾイ」に取り組む直前で、自らの作品スタイル構築を模索していました。リヴァプールで出会った若者たちの生きる姿勢は、セイケの撮影姿勢にも影響を与えたと思われます。また展示作の中には、その後のモノクロームの抽象美を追求する作品スタイルへの展開を予感させる作品も数多くみられます。本展では、トミオ・セイケの世界初公開のデビュー作約20点が展示されます。全作品がデジタル・アーカイヴァル・プリントとなります。

トミオ・セイケ・ギャラリー・ツアー開催
アーティストとギャラリストが展示作品や制作背景などについて展示会場内で解説します。
開催日時: 9月10日(土) 午後2時~(約40分程度を予定しています)
参加無料 予約不要 約20名様程度を予定
*来場者が多い場合は入場制限もあります。あらかじめご了承ください