Terry O'Neill

Terry O'Neill(テリー・オニール, 1938-2019)は英国のロンドン生まれ。50年以上に渡り、音楽、映画、政治経済、アート、スポーツなど幅広い分野で活躍する人物を世界中で撮影してきました。
若かりしオニールが尊敬する写真家はフォトジャーナリズムの歴史に功績を残したユージン・スミスでした。しかし、彼は当時主流だった戦争や貧困などの極端な環境でのドキュメントを選択せず、カメラをセレブリティー、ミュージシャン、アーティスト、モデルなどに向けてポートレートを撮影。大型カメラによるスタジオ撮影が主流だった時に、携帯可能な35mmの小型カメラで、当時のポップ・カルチャー・シーンを全く新しいドキュメンタリー・スタイルで撮影したのです。
1960年代、オニールは音楽、映画、ファッション界の新しいアイコンを見つけて、自らのスタイルで写真を撮り続けます。彼は、ザ・ビートルズとザ・ローリング・ストーンズを新聞と雑誌のフロントページで紹介した最初の写真家となります。彼の写真は激動する60 年代をとらえるとともに、そのヴィジュアルで時代の気分も作り上げてきたのです。

その後、オニールの才能は、米国映画界でも高く評価されます。フランク・シナトラ、オードリー・ヘップバーン、ラクエル・ウェルチ、ポール・ニューマン、エリザベス・テイラーなど、多くのハリウッド・スターから指名を受けるようになります。彼は、アルバム・カバー、映画ポスター、ファッションとともに、タイム、ライフ、ヴォーグ、パリ・マッチ、ローリング・ス トーンなどの世界的な雑誌、新聞の仕事を行います。
またショーン・コネリーからダニエル・クレイグまで、50 年に渡り007・ジェームス・ボンド映画の写真を撮った唯一のカメラマンとしても知られています。 極めつけは1990年にバッキンガム宮殿で撮影した英国エリザベス女王のオフィシャル写真。王室からの仕事依頼は、まさに英国を代表する写真家であることの証といえるでしょう。
彼は、このような長年にわたる広範囲の分野での活躍により、いまでは戦後の民主的社会をポートレート写真で定義してきた写真家だと言われています。2011年、テリー・オニールは写真芸術への継続的な貢献が認められ、英国王立写真協会より権威あるセンテナリ―・メダルを授与されます。2019年には、英国皇室よりCBE(大英帝国三等勲爵士、司令官)勲章授与。

いまや彼の作品は時代性を切り取ったア―ト作品だと認識され、戦後英国を代表するファッション・ポートレート系写真家と評価されています。作品は、世界中の主要な美術館とアート・ギャラリーで展示・コレクションされています。

2019年11月16日、ロンドンの自宅で亡くなりました。 
訃報のお知らせ

terryoneill

Brigitte Bardot, Spain, 1971
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